サウナの起源・発祥の地|フィンランドと日本における文化・歴史

サウナの起源・発祥の地|フィンランドと日本における文化・歴史

サウナは「北欧フィンランドで誕生し、日本で独自の発展を遂げた入浴法の1つ」です。しかし、「いつからあるのか」「どこで生まれたのか」までは、わからない人もいるかもしれません。

今回は「サウナの起源・発祥の地」をテーマに、フィンランドと日本における文化・歴史、サウナ初心者が気になるQ&Aをわかりやすく解説します。一緒に、サウナの「はじまりの物語」を追いかけてみませんか?

はるまる

「サウナの原点」を知ることで、サウナがもっと楽しくなるはずです。

ぴちどん

私もみなさんと一緒に、ゆっくり学んでいきます。

当記事は、温泉ソムリエ×サウナ・スパ健康アドバイザー×ライター歴12年の筆者の経験や調査をもとにまとめています。参考文献は、記事末に掲載中です。

目次

サウナの起源・発祥の地とされる国

サウナ

サウナは、ただの入浴法の1つではなく、悠久のときを超えて人々の暮らしに溶け込んできたカルチャーです。まずは、サウナがいつからあり、どこで生まれたのかに迫ります。

サウナ誕生に関する疑問
  • サウナはいつからあるの?
  • サウナはどこで生まれたの?
  • 水風呂と外気浴の元祖は?

サウナの誕生はとても古く、記録に残る以前から人々の生活の一部として存在していました。

サウナはいつからあるの?

サウナの起源は、約6000年前のフィンランドまで遡ります。

考古学的研究によると、初期のサウナは現在のような豪華な設備はなく、採集や狩猟の合間に入る「ダグアウトサウナ」と呼ばれる原始的なものが主流だったそうです。

初期のサウナサウナの設計
穴ぐら式
(ダグアウトサウナ)
地面に掘った穴で火を焚き、ロウリュ(熱した石に水をかけて蒸気を発生)させることで暖を取る
埋め込み式
(アースサウナ)
地中(丘陵や土手などの傾斜地)を利用する
組み立て式
(テントサウナ)
木製の骨組みを動物の皮で覆って利用する
薪式
(スモークサウナ)
薪を燃やした煙で暖を取る

現在のような小屋が建てられるようになったのは、約2000年前のこと

いわゆる薪を燃やすサウナで、現地では煙に包まれることから「スモークサウナ」と呼ばれていました。これらのサウナは、身体を温めるためだけでなく、疲れを取ったり汚れを落としたりする目的で利用されていたことがわかっています。

文献によっては、病気を防ぐために入っていたとの記録も。現在、日本で導入されているサウナの源流も、その数千年前のサウナがルーツです。

なお、サウナの種類一覧は次の記事でチェック!

サウナはどこで生まれたの?

サウナの発祥の地は、北欧フィンランドにあるという説が有力です。

数千年前のサウナは、古くから「蒸し風呂」として機能していましたが、穀物乾燥室や食料貯蔵庫としても使用されたほか、麻やリネンを乾かしたり植物からビールを作ったりと生産工場の側面もありました。

当時のサウナサウナの用途
穀物乾燥室穀物を乾燥させる
食料貯蔵庫食料を貯蔵する
生産工場生産する

次第に、サウナは「熱で殺菌された衛生的な場所」から「神聖な場所」となり、病院のない農村部を中心に手術や治療、出産や葬儀まで行われるようになったとされています。当時は、自然の力が崇拝されていた時代で、蒸気は「肌を突き抜けて病を治すもの」と信じられていたそうです。

やがて「サウナの魂」とも称されるロウリュを行う発汗風呂は、宗教的な儀式や信仰にも利用され、入浴施設の枠を超えた存在感を発揮していくようになります。

なお、サウナの効果効能は次の記事をチェック!

水風呂と外気浴の始まりは?

サウナとセットで行われる水風呂と外気浴は、フィンランドで誕生し、日本で発展しました。

始まり水風呂外気浴
土台となった国フィンランドフィンランド
発展させた国日本日本

フィンランドでは身体を芯から温めた後、凍った川や湖に飛び込んだり、外のベンチで風に当たったりして、身体を冷ましていました。これが現代の水風呂・外気浴の土台となり、その後日本に伝来して独自の進化を遂げていきました。

日本でも、古来から仏教寺院などで蒸し風呂形式の入浴法が取り入れられており、やがて行水や禊と合わさり、江戸時代に湯船が登場したことで温冷交代浴が確立。もともとは身体を清める目的でしたが、温浴施設の定着とともに「サウナ⇒水風呂⇒外気浴」で整うのが一般化しました。

かの古代ローマのテルマエ(公衆浴場)でも、冷温浴が取り入れられていました。

サウナのフィンランドにおける文化・歴史

ここからは、サウナのフィンランドにおける文化・歴史を解説します。フィンランドでサウナが生まれた背景や根付いた理由がわかれば、より理解が深まるはずです。

フィンランドのサウナの歩み
  • フィンランドでサウナが生まれた背景
  • フィンランドで初めてのサウナ施設
  • フィンランドにサウナが根付いた理由
  • フィンランド式サウナの特徴
  • 現代フィンランドのサウナ史

フィンランドのサウナは、常に過酷な自然環境とともに歩んできました。

フィンランドでサウナが生まれた背景

フィンランドでサウナが生まれたのには、現地の過酷な環境が関係しています。

フィンランドは、夏が短く冬が長いという過酷な環境にある国……だからサウナが必須だったのです。

ときには氷点下30度にもなる国で、人々は「生きるための熱」を求めました。身体を温めないと死んでしまう状況で、地面に掘った穴で火を焚き、ロウリュ(熱した石に水をかけて蒸気を発生)させることで快適な暖房と清潔な身体の両方を確保していました。

フィンランドで初めてのサウナ施設

フィンランドで最も古い公衆サウナは、タンペレの「ラヤポルティ」とされています。

1906年創業で、薪焚きの伝統的なサウナと本格的なロウリュが楽しめる温浴施設。男女別かつ水着なしで入浴するオーソドックスなサウナで、男女共用のスペースもある入浴施設です。

中庭にカフェも併設するなど、世界のサウナのベースとなった場所といえるでしょう。

フィンランドにサウナが根付いた理由

サウナがフィンランドに根付いた理由は、主に3つあります。

  1. 気候に適応して健康を維持する必要があったため
  2. 太古より精霊の宿る神聖な場所とされたため
  3. 平等な空間で誰もが入浴できたため

フィンランドは、夏は夜になっても太陽が沈まない白夜、冬は昼になっても太陽が昇らない極夜がある北欧特有の気候で、精神的・肉体的な健康を守るためにはサウナが必要でした。体内のバイオリズムを整える意味でも、サウナは不可欠なものでした。

何より性別・年齢・身分に関係なく同じ「ぬくもり」を共有できる場所だったことこそが、フィンランドにサウナを根付かせる要因となったのです。

フィンランド式サウナの特徴

フィンランド式サウナの最大の特徴として、次の3つが挙げられます。

  1. 低温高湿のサウナ室
  2. 蒸気を味わうロウリュ
  3. 代謝を促すヴィヒタ

フィンランドのサウナは、温度低め・湿度高めのサウナ室で、徐々にロウリュをしながら蒸気を味わうのが特徴です。また、ヴィヒタと呼ばれる白樺の枝葉で皮膚を叩き、代謝を促すのも特徴の1つです。

なお、サウナという言葉の意味や定義、語源や由来は次の記事で解説しています。

現代フィンランドのサウナ史

フィンランドでは国民が人口約560万人に対し、サウナは推定約300万室あると予想されています。

一家に一室は当たり前で、観覧車にも国会議事堂にもサウナがある、文字通りのサウナ大国。現地には「サウナのない家は自宅ではない」ということわざまであるほどです。

なお、フィンランドの現代サウナ史を簡単にまとめると、次の通り。

年表
約6000年前:サウナの概念が誕生
年表
約2000年前:サウナ小屋の原型が完成
年表
1936年:ベルリンオリンピックで世界中が注目
年表
2020年:ユネスコ無形文化遺産に登録

サウナが世界で注目されるきっかけとなったのは1936年のベルリンオリンピック。第二次世界大戦時には一時的に衰退するも、徐々に煙突付き薪ストーブをはじめ、ガス式ストーブや電気式ストーブが普及し、安定したサウナ環境が整備されていきました。

2020年には「フィンランドのサウナ文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことで、よりサウナが1つの象徴として認められるようになりました。

はるまる

「サウナの歴史=世界遺産」といっても過言ではありません。

ぴちどん

……恐るべし、フィンランドのサウナ愛。

サウナの日本における文化・歴史

ここでは、サウナの日本における文化・歴史を解説します。日本にサウナが伝わった背景や根付いた理由がわかれば、より理解が深まるはずです。

日本のサウナの歩み
  • 日本にサウナが伝わった背景
  • 日本で初めてのサウナ施設
  • 日本にサウナが根付いた理由
  • 日本式サウナの特徴
  • 現代日本のサウナ史

日本のサウナは、常に温浴施設の発展とともに歩んできました。

日本にサウナが伝わった背景

日本にサウナが伝わったのは、戦後の1960年以降といわれています。

日本は、当時から温浴施設にみんなで入る習慣があった国……だからサウナもすぐに受け入れられたのです。

きっかけとなったのは、1964年の東京オリンピックでフィンランド選手団が選手村に「薪サウナ」を持ち込んだこと。当時、まだ日本では珍しかったサウナがニュース番組で報道されたことで、国中に知れ渡ることとなりました。

日本で初めてのサウナ施設

日本で最も古い公衆サウナは、銀座の「東京温泉」とされています。

1951年創業で、1957年に導入されたスチーム配管で蒸気を回しながら熱するサウナが売りだった温浴施設。クレー射撃選手かつ初代社長だった許斐氏利氏が、メルボルンオリンピックで見かけたサウナに感銘を受けて作ったとされるベーシックなサウナで、マッサージも受けられる入浴施設だったそうです。

バーなどの飲食店も併設するなど、日本のサウナのベースとなった場所といえるのではないでしょうか。

日本にサウナが根付いた理由

サウナが日本に根付いた理由は、主に3つあります。

  1. 温浴施設という受け皿があったため
  2. 健康習慣として受け入れられたため
  3. ストレスや疲労を取り除く必要があったため

日本は当時、朝から晩まで働く高度経済成長期の真っ只中で、サウナ付きの温浴施設が各地に作られるようになりました。もともと湯治などの健康習慣が定着していたこともあり、サウナはサラリーマンたちの憩いの場へと変化していきました。

何より、日々の労働による「フラストレーション」を発散できる場所だったことこそが、日本にサウナを根付かせる要因となったのです。

日本式サウナの特徴

日本式サウナの最大の特徴として、次の3つが挙げられます。

  1. 高温低湿のサウナ室
  2. 刺激を楽しむ水風呂
  3. 外で涼む外気浴

日本のサウナは、温度高め・湿度低めのサウナ室で耐え、水風呂で落差のある刺激を楽しむのが特徴です。また、外気浴と呼ばれる休憩を挟みつつ、外で涼むのも特徴の1つです。

なお、水風呂や外気浴という言葉の意味や定義、語源や由来は次の記事で解説しています。

現代日本のサウナ史

日本では、空前のサウナブームが到来しています。

数十年もの間、サウナは「おじさんたちの楽園」という印象でしたが、近年はドラマ『サ道』の影響で若い男女にもニーズが拡大中。サウナーたちが聖地巡礼の旅に出ているほどです。

なお、日本の現代サウナ史を簡単にまとめると、次の通り。

年表
1951年:温浴施設にサウナが登場
年表
1964年:東京オリンピックで日本中が注目
年表
1990年代:健康ランドやスーパー銭湯が流行
年表
2019年:ドラマ『サ道』が爆発的にヒット

サウナが日本で注目されるきっかけとなったのは1964年の東京オリンピック。バブル経済崩壊時には一時的に衰退するも、徐々にウェルネスに対する意識をはじめ、先進テクノロジーの導入やプライベート空間の重視が普及し、充実したサウナ環境が整備されていきました。

2019年にはドラマ『サ道』が爆発的にヒットしたことで、よりサウナが1つの文明として認められるようになりました。

はるまる

「サウナーのバイブル=サ道」といっても過言ではありません。

ぴちどん

……日本のサウナの勢い、衰える気配なし。

サウナの成り立ちのQ&A

Q&A

最後に、サウナの成り立ちのQ&Aとして、よくある質問をまとめました。

今のサウナと昔のサウナは同じような形だった?

形態も役割も別物です。昔のサウナは素朴な設計でしたが、今のサウナは設備が充実していて快適なものへと変化しています。

サウナは本来どんな場所だった?

ひとことで表現するなら「魂を整える場所」でした。汗をかいて自分と向き合う特別な空間だったといえるでしょう。まさに“魂の故郷”といえるのではないでしょうか。

なぜフィンランドが「サウナの本場」なの?

サウナが生活と密接に結びついていたからです。生まれるときも、死ぬときも人々はサウナとともにありました。もちろん、癒されたいときもサウナに行きます。

なぜ日本の「温浴施設」と結びついたの?

温浴施設での入浴が当たり前だったためです。日本では「お湯に浸かり、サウナに入り、水風呂に入り、外気浴で整う」という一連の流れが定着しています。

フィンランド式サウナと日本式サウナの違いは?

フィンランド式は、原則「低温高湿」でロウリュやヴィヒタを楽しむのが一般的。日本式は、原則「高温低湿」で水風呂や外気浴を楽しむのが一般的。

なお、ほかのコラムも読みたい方は、ととのい博士まとめページもあわせてご覧いただけると幸いです。次のページでは、サウナーに役立つ読み物をまとめています。

まとめ

今回は、サウナの起源・発祥の地、フィンランドと日本における文化・歴史、Q&Aを解説しました。

サウナは、「北欧フィンランドで誕生し、日本で独自の発展を遂げた入浴法の1つ」です。サウナの起源や発祥を辿ると、さまざまな偶然の重なりにより世界中・日本中に広まったことがわかります。

こうした文化は1つの歴史となり、また新たな習慣として引き継がれていくでしょう。まさに、サウナは「変化し続ける入浴法」といえるのではないでしょうか。みなさんも、そんなサウナの成り立ちをぜひ学んでから、温浴施設を訪れてみてください。

お忙しい中、最後までご覧いただきありがとうございました。では、ひとっととのい、いきましょう!

参考文献
  • 『医者が教えるサウナの教科書』加藤容崇/ダイヤモンド社
  • 『究極の「サウナフルネス」世界最高の教科書』カリタ・ハルユ/東洋経済新報社
  • 『サウナ語辞典』草彅洋平+AMAMI/誠文堂新光社
はるまる

本日もお疲れ様でした。当サイトはサウナを愛するすべての人を応援しています。サウナをもっと知りたい方は、ほかの記事も覗いてみてください!

ぴちどん

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実際に“ととのい”を体験してみたい方、水風呂・外気浴の種別や作用が気になる方は、次の記事も一緒にチェックしてみませんか?

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