サウナの医学的・科学的根拠一覧|研究データ・論文エビデンスまとめ

サウナの医学的・科学的根拠一覧|研究データ・論文エビデンスまとめ

サウナでは、医学的根拠や科学的根拠の有無が気になるものです。実際に、サウナに関する調査は世界各国で行われており、対象を長年追跡した研究データや論文エビデンスはあるものの、具体的な裏付けのないまま感覚で入浴している方もいらっしゃるかもしれません。

今回は「サウナの医学的・科学的根拠一覧」をテーマに、研究データ・論文エビデンスまとめ、サウナ初心者さん・常連さんが気になるQ&Aをわかりやすく解説します。

当記事は、温泉ソムリエ×サウナ・スパ健康アドバイザー×世界26カ国訪問×ライター歴12年の筆者の経験や調査をもとにまとめています。記事末には、参考文献も掲載中です。

はるまる

サウナは感覚的なニュアンスで語られがちな一方、現在は医学的にも科学的にも数字による確証が蓄積されつつあります。

ぴちどん

実際に、エビデンスやデータなどの証拠があると、より一層サウナを信じて楽しめるようになれそうですよね!

目次

サウナに医学的・科学的根拠はあるのか?

結論からいえば、サウナには明確な医学的・科学的根拠が存在します。温冷交代浴で起こる身体の変化が、何よりの証左です。

サウナ入浴による心身への影響は、個人的な感想で語られることが多く、「あくまで主観」「諸説あり」という具合に抽象的な情報が少なくありません。

たとえば、サウナは以下のような感覚だけで言及されることが珍しくないです。

  1. 汗をかくから身体に良い
  2. 苦痛だから身体に悪い

もちろん、以上のような経験則による実体験のみでも、一次情報としては参考になります。しかし、具体的な数字が出ている研究論文と組み合わせることで、サウナが持つ力をより実感できるようになります。

現在は、医学会・科学界の査読付き学術誌に掲載されている情報もあるほか、総合東京病院や日本スポーツ協会が引用している情報もあるため、根拠の信憑性は申し分ありません。

なお、サウナの起源や発祥の地、フィンランドと日本における文化や歴史が気になる方は、次の記事にも目を通していただけると幸いです。

はるまる

今回は温泉ソムリエ、サウナ・スパ健康アドバイザーとしての私の知見はもちろん、専門書を熟読して調べた結果もまとめます。

ぴちどん

「ととのうだなんて怪しい」「ととのいなんて嘘だ」といわれて悔しい思いをした同志のみなさん!今が反論のときです!

サウナの医学的・科学的根拠一覧

サウナで人体が刺激を受けると、体内では血管の拡張・収縮や自律神経の切り替え、脳内物質の分泌などの変化が起こるのが一般的です。ここからは、サウナの医学的・科学的根拠一覧を解説します。

サウナによる身体の変化
  • 血管の拡張・収縮
  • 自律神経の切り替え
  • 脳内物質の分泌

血管の拡張・収縮

温冷交代浴、いわゆる「サウナ⇒水風呂⇒外気浴」を繰り返す入浴法を行うと、体温上昇に伴い血管が拡張し、逆に体温低下に伴い血管が収縮します。

このポンピング作用により、全身の血流量は安静時の約1.5~2倍に到達。結果的に心臓がバクバクするのです。その作用は医学的・科学的にも確認されており、軽度の有酸素運動に匹敵することがわかっています。

また、血流改善により疲労物質である乳酸の排出が促進され、肩こりや腰痛の緩和、深部体温の調整にも寄与するというのが一般的な見解です。

血管の拡張・収縮は、生物学的に説明可能な現象の1つ。

自律神経の切り替え

サウナと水風呂を経て外気浴を行うと、温冷交代浴の負荷により半強制的に自律神経が切り替えられます。

私たちの身体は、温熱刺激や冷却刺激を受けると生命の危機を感じ、緊張を司る交感神経を優位にします。その後、双方の刺激から解放されることで、今度はリラックスを司る副交感神経が優位になるのです。このスイッチング作用が、自律神経をととのえる鍵。

ストレスや疲労に悩む現代人は、特に交感神経が過敏な傾向にあるため、意図的に副交感神経を優位にする手立てが必要なわけです。

自律神経の切り替えも、生物学に説明可能な現象の1つ。

脳内物質の分泌

サウナ入浴の極限状態から解放されると、「天然の脳内物質(快楽物質のβ-エンドルフィンや幸福物質のドーパミン)」が分泌されることが示唆されています。

俗にいう幸せホルモンは、リラックスだけでなく幸福感にも寄与し、気分の高揚感につながります。分泌される量は状況によって変わるものの、温冷交代浴で多幸感に包まれるのは生物学的な現象なのです。

ただし、分泌量には個人差があり、全員が同じ状態になるとは限らないため、注意が必要です。

はるまる

人体の構造的に、サウナ入浴を行うことで「体内で確実に起こること=医学的・科学的根拠」といえます。

ぴちどん

あの快感は気のせいじゃなかったんだ。根拠がわかると「生理学的にととのっているんだ」と自信を持っていえそうです!

サウナの研究データ・論文エビデンスまとめ

サウナの身体への影響は、世界各国で行われている実験によって解明が進められている段階です。ここでは、サウナの研究データ・論文エビデンスまとめを解説します。

サウナの実験による結果
  • 【うつ病】アメリカ・ウィスコンシン大学の調査
  • 【風邪】オーストリア・ウィーン大学の調査
  • 【高血圧】フィンランド・東フィンランド大学の調査
  • 【死亡】フィンランド・東フィンランド大学の調査
  • 【認知症】フィンランド・東フィンランド大学の調査

【うつ病】アメリカ・ウィスコンシン大学の調査

サウナは「うつ病など精神疾患の改善が期待できる」という情報の裏付けとなるのが、アメリカにあるウィスコンシン大学の調査です。

項目詳細
対象30人
タイトルWhole-Body Hyperthermia for Major Depressive Disorder(掲載誌:JAMA Psychiatry)
著者Charles L. Raisonほか
年代2013年~2015年

当調査では、全身温熱療法(赤外線を照射して身体全体を熱する療法)が、数週間にわたって脳内報酬系(意欲の源となる神経回路)の安定や維持に好影響を与えたことを示しました。

つまり、深部体温を上昇させるサウナも、メンタルの回復が期待できるといえます。

【風邪】オーストリア・ウィーン大学の調査

オーストリアのウィーン大学で行われたのが、風邪とサウナの関係を調べた約6ヶ月に及ぶ観察実験です。

項目詳細
対象50人
タイトル
著者H. Ernstほか
年代1988年~1989年

当実験では、前半3ヶ月は両グループに差がなかったものの、後半3ヶ月は非サウナ群と比べてサウナ群の感染症の罹患率が減少したことがわかりました。

結果として、サウナ習慣を継続することで免疫力が向上することが示唆されたといえます。

【高血圧】フィンランド・東フィンランド大学の調査

サウナ業界で最も信用されているのが、フィンランドにある東フィンランド大学(2010年にクオピオ大学とヨエンスー大学の合併により設立)による追跡調査「KIHD(世界的に引用されている大規模なコホート研究)の論文」です。

当追跡調査から複数の実証結果が発表されており、高血圧への影響が示唆されています。

項目詳細
対象約1,600人
タイトルSauna bathing is associated with reduced risk of hypertension(掲載誌:American Journal of Hypertension)
著者Jari A. Laukkanenほか
年代約20~30年

約20~30年にわたって約1,600人を追跡した当調査では、サウナ習慣がある人はない人と比べて高血圧の発症リスクが約47%減少したと記録されています。結果的に、サウナは血圧や心拍数の調整に関与する可能性が示唆されたわけです。

2025年時点で「135/85mmHg前後」と高血圧だった私も、2026年時点では「125/75mmHg前後」にまで落ち着いていました。あくまでも一例ではあるものの、体感として変化を感じているところです。実際に、サウナは大量の発汗を伴うため、高血圧の一因となる塩分が排出されやすくなります。

【死亡】フィンランド・東フィンランド大学の調査

2015年には、KIHDの追跡調査をベースに、死亡に関する影響も示唆されました。

項目詳細
対象約2,315人
タイトルAssociation Between Sauna Bathing and Fatal Cardiovascular and All-Cause Mortality Events(掲載誌:JAMA Internal Medicine)
著者Jari A. Laukkanenほか
年代1984年~2011年

当調査では、サウナ習慣が週4~7回以上の方は週1回以下の方と比べ、死亡率が40%減少したことが判明。心血管疾患死は50%、突然死は63%減少したとも報告されており、サウナは心血管機能を強化し、寿命を延ばす可能性があることが示唆されました。

【認知症】フィンランド・東フィンランド大学の調査

2016年には、KIHDの追跡調査をベースに、認知症に関する影響も示唆されました。

項目詳細
対象約2,315人
タイトルSauna bathing is inversely associated with dementia and Alzheimer’s disease(掲載誌:Age and Ageing)
著者Jari A. Laukkanenほか
年代1984年~2011年

当調査では、サウナ習慣が週4~7回以上の方は週1回以下の方と比べ、認知症率が66%減少したことが判明。アルツハイマー病などの脳疾患は65%減少したとも報告されており、サウナは脳神経を保護し、老化を抑える可能性があることも示唆されました。

はるまる

なお、紹介したものは現地の環境で行われたもので、日本の方に同様の結果を保証するものではありません。

ぴちどん

因果関係を断定するものではなく、交絡(第三の要因が介在すること)の可能性も否定できないため、冷静な判断が求められます!調査結果はあくまでも特定条件での一例です!

サウナの研究データ・論文エビデンスの限界

サウナは、どれほど優れた分析であっても「絶対」はないため、体調に合わせて楽しむ姿勢が大切です。次に、サウナの研究データ・論文エビデンスの限界を解説します。

サウナの研究論文は、特定条件でのみ出た「結果の一例」であり、すべてのサウナに当てはまる「理想的な答え」ではありません。

限界備考
①サウナ室の環境フィンランドで使用されるのは、主に90℃前後のサウナ。日本の多種多様なサウナ環境で同様の結果が出るかどうかは追加検証が必要といえる。
②生活習慣との関係フィンランドと日本のライフスタイルは別物。「サウナをしているから健康なのか、健康だからサウナができるのか」は曖昧なところ。
③被験者の属性フィンランド人の主な調査の対象は男性であり、女性は含まれていない。日本人にも適合するかどうかは現在検証段階にある。

数字は、常に更新されていくものです。1つのエビデンスやデータで確信を持つのではなく、自らの条件に合うかどうかを検証する姿勢が求められます。

なお、サウナ入浴を信頼して楽しむには、サウナ・水風呂・外気浴の種類一覧や効果効能も知っておくと安心です。具体的な種類一覧や効果効能は、次の記事で解説しています。

サウナの健康効果は人によりけり

数字は、健康効果を裏付ける要素ではあるものの、サウナに置いて過信は禁物です。次の項目では、サウナの健康効果は人によりけりであることを解説します。

サウナの妄信は厳禁
  • ととのいはあくまでも副産物
  • ととのうことに固執しない

ととのいはあくまでも副産物

サウナの本質は、心血管や脳への刺激による身体反応にあります。いわゆるととのいは、結果として得られる副次的な体験であり、必ずしも目的にする必要はありません。リラックスして楽しめさえすれば、仮にととのえなくても問題ないです。

ととのうことに固執しない

サウナを「ととのわない=意味ない」と捉えてしまうと、本来の楽しみを見失ってしまいます。こればかりは当日のコンディションによってととのう日もあれば、そうでない日もあるため、「意味があるかどうか」よりも体調に合わせて無理なく楽しむことが大切です。

サウナの数字のQ&A

Q&A

最後に、サウナの数字のQ&Aとして、よくある質問をまとめました。

サウナは本当に医学的・科学的に健康効果はあるの?

一部は研究論文で示唆されているものの、サウナの健康効果が保証されているものではありません。

ととのいの感覚は研究論文で証明されている?

一部のサウナーが使用している言葉というだけで、医学的・科学的に証明されている表現ではありません。

月に何度も通わないと意味がない?

継続して入浴することに、価値があります。実際に、週1~2回でも風邪の罹患率を抑える可能性が示唆されているほか、ストレス解消や疲労回復による補助的なリカバリーも期待できるため、習慣化することが大切です。

なお、コラム全般の情報を知りたい方は、コラムページもあわせてご覧いただけると幸いです。次のページでは、サウナーさんに役立つ情報を体系的に学べます。

まとめ

今回は、サウナの医学的・科学的根拠一覧、研究データ・論文エビデンスまとめ、Q&Aを解説しました。

サウナは、血管の拡張・収縮、自律神経の切り替え、脳内物質の分泌など、生理学的に説明可能な作用を持つ入浴法です。つまりは、医学的根拠や科学的根拠のある入浴法といえます。

また、短期的かつ長期的な研究データや論文エビデンスを見ても、心身への優れた影響が示唆されています。もちろん、健康効果は個人差があり、すべての人に同様の有効性が保証されているものではないため、数値に振り回されるのではなく、体調に合わせて無理なく楽しむことが大切です。

ぜひ、本記事で紹介した内容を参考にしながら、サウナとの適切な付き合い方を見つけてみてください。

お忙しい中、最後までご覧いただきありがとうございました。では、ひとっととのい、いきましょう!

参考文献
  • 『医者が教えるサウナの教科書』加藤容崇/ダイヤモンド社
  • 『究極の「サウナフルネス」世界最高の教科書』カリタ・ハルユ/東洋経済新報社
  • 『サウナ語辞典』草彅洋平+AMAMI/誠文堂新光社
はるまる

本日もお疲れ様でした。当メディアはサウナを愛するすべての人を応援しています。サウナをもっと知りたい方は、ほかの記事も覗いてみてください!

ぴちどん

ちょっとでも学びがあったら、ぜひSNSで共有してもらえると嬉しいです。ではまた、次の記事でお会いしましょう!

サウナの医学的・科学的根拠一覧を知った後は、次の記事を参考にしながら実際にととのってみませんか?

※本記事は、温泉ソムリエ&サウナ・スパ健康アドバイザーの資格を持つ筆者による「健康情報の一般的な解説」であり、診断や治療を目的としたものではございません。体調に不安のある方は、まず専門医にご相談を。

明日も頑張れますように!
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